六波羅蜜寺とは
「六波羅蜜寺って名前は聞いたことがあるけど、どういうお寺なんだろう?」
「京都・東山区にある寺院で、平安時代中期の963年に空也(くうや)が開いたのが始まりだよ。その後、平家の本拠地となり、鎌倉幕府の監視機関である六波羅探題(ろくはらたんだい)も置かれた歴史的な場所でもある。」

六波羅探題碑
六波羅探題の証は六波羅蜜寺の敷地内の隅にひっそりと佇んでいた
「空也って、歴史の授業で少し聞いたことがある気がする。あと、六波羅探題って鎌倉幕府関連だよね?」
「そう。そして、もう一つ重要なのは、ここが”都七福神巡り”の発祥地のひとつでもあること。六波羅蜜寺には七福神の一柱、弁財天が祀られているんだ。」
「七福神巡りって、色々な神社やお寺を巡ってご利益を得るやつだよね?」
「その通り。現代でも、京都では七福神巡りが盛んで、そのルーツの一つが六波羅蜜寺なんだ。」

六波羅蜜寺 七福神めぐり
七福神めぐりの御朱印と、空也上人の御朱印は別々の場所でいただける
水にまつわる神様の力で少しひんやりとした空気で覆われているように感じた
空也と”踊り念仏”
「じゃあ、そもそもこのお寺を建てた空也って何者?」
「空也は平安時代の僧侶で、市井の人々の間を歩きながら念仏を広めたことから”市聖(いちのひじり)“と呼ばれている。」
「念仏って、お経を唱えること?」

境内は小さくこじんまりとしており、とても平安時代の創建とは思えないほど新しく感じた
「厳密に言えば、“南無阿弥陀仏”を唱えて阿弥陀仏にすがる信仰のこと。この念仏を空也は独特の方法で広めた。“踊りながら念仏を唱える”というスタイルだ。」
「踊る?念仏って静かに唱えるものじゃないの?」
「当時は識字率が低かったから、文字を読めない庶民にも分かるように、リズムに乗せて覚えやすくしたんだ。この”踊り念仏”は後の時代の”時宗(じしゅう)“に影響を与えている。」
- 識字率…文字を読み書きできる人の割合
- 時宗…鎌倉時代に成立した浄土宗の一派で、踊り念仏を特徴とする宗派
空也像と阿弥陀如来像
「六波羅蜜寺には何か特別な仏像とかある?」
「有名なのが”空也上人立像”。空也が念仏を唱えると、その口から6体の阿弥陀如来が現れる姿を表している。」
「口から仏様が出てくるの!?どういうこと?」
「“南無阿弥陀仏”という6つの音節を視覚化したものなんだ。念仏を唱えれば極楽浄土へ導かれるという信仰を具現化している。」
「そんな仏像見たことない。めちゃくちゃユニークだね。」

空也上人像
空也上人像が保存されている令和館内は撮影禁止。
空調機や車いす用の昇降機なんかも整備されており資金の潤沢さを感じた。
「それに、六波羅蜜寺にはもう一つ見どころがある。“十一面観音立像”という国宝級の仏像があって、平安時代の仏像美を象徴する存在だよ。」
平清盛と六波羅探題
「六波羅蜜寺と平清盛って、どういう関係があるの?」
「平清盛は、この六波羅の地に屋敷を構えて、武士として初めて政権を握った人物なんだ。」
「武士の政治って鎌倉幕府から始まったんじゃないの?」
「実はその前に、平清盛が武士としての政治を確立している。1160年代に政権を握り、その30年後の1192年に鎌倉幕府が成立するから、清盛の時代がなければ鎌倉幕府もなかったかもしれない。」
「じゃあ、鎌倉幕府の先駆けみたいな存在なんだね。」

六波羅蜜寺 本堂
本堂内には十一面観音立像が祭られている。
訪れた際は公開されておらず拝めなかった
「そう。そして鎌倉幕府ができた後、ここには”六波羅探題”が置かれた。」
「それが鎌倉幕府の監視機関?」
「簡単に言えば、京都の朝廷や有力貴族の動きをチェックするための役所だね。」
日本初の七福神巡りと六波羅蜜寺
「さっき言ってた”都七福神巡り”って何?」
「京都で発祥した、日本初の七福神巡りだよ。六波羅蜜寺には”弁財天”が祀られている。」
「弁財天って、お金や芸能の神様だっけ?」
「そう。七福神の中で唯一の女神で、知恵や財運をもたらす存在とされている。」

六波羅蜜寺 弁財天
「七福神巡りって、何か特別な意味があるの?」
「七福神を巡ることで、七つの福を手に入れられると考えられている。ご利益のある”開運ツアー”みたいなものだね。」
「なるほど、まるでスタンプラリーみたいな感覚で楽しめそう。」
まとめと周辺スポット
「六波羅蜜寺って、思ってたよりずっと歴史が深いね。」
「空也が念仏を広め、七福神巡りの聖地でもあり、平清盛が武士の時代を築いた場所。そして鎌倉時代には六波羅探題が置かれた。かなり重要な歴史の交差点になっているお寺だよ。」
「ここを巡れば、平安時代から鎌倉時代までの流れがわかるかも。」
「周辺には清水寺、建仁寺、高台寺もあるから、京都観光のついでに立ち寄るのもアリだね。」
「歴史も楽しめるし、ご利益も期待できるし、行く価値は十分あるね!」
六波羅蜜寺は、単なる古いお寺ではなく、日本の宗教・政治・文化の変遷が詰まった場所。
京都を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてほしい。