【金戒光明寺と新選組|法然ゆかりの寺で幕末の歴史を辿る】

京都 

導入 〜京都の寺に眠る歴史の交差点〜

京都には数多くの名刹がありますが、その中でも特に歴史の交差点と言えるお寺があります。それが「金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)」です。

金戒光明寺 御影堂

境内は広々としていて、地元の子供たちの遊び場になっているようだ

赤みがかった木々ときれいな印象を受ける本堂

京都の多くの有名な寺院と違うシンプルな伽藍に惹かれる

法然上人が開いた浄土宗最初の寺院でありながら、新選組や会津藩とも深く関わり、幕末の激動を見つめ続けたこの寺。歴史好きなら一度は訪れたい場所ですが、実はあまり詳しく知られていないことも多いのです。

今回は、そんな金戒光明寺の魅力を、「法然」「新選組」「会津藩」という3つの視点から理解していきましょう

金戒光明寺 山門

門というにはあまりにも大きく主張の激しい建造物

確かに現代の建造物にはない雰囲気がする。

わざわざここまで来て歴史ドラマの撮影をする気持ちが少し理解できた。

本物の感覚というか、絵の説得力が違う

金戒光明寺の歴史 〜法然が開いた浄土宗の始まり〜

金戒光明寺は、浄土宗の開祖・法然が最初に念仏の教えを広めた場所です。創建は1175年(平安時代末期)。法然がこの地に草庵(そうあん)を結び、浄土宗の教えを説いたのが始まりです。

その後、鎌倉時代には後鳥羽上皇の命で法然が流罪となり、一時衰退。しかし、室町時代には幕府の庇護を受け、さらに江戸時代には徳川家からも厚い信仰を受けて発展しました。

金戒光明寺 漣池

境内をぶらぶらと見ていたら想像していなかった景色が待っていた

池の水面に桜の花びらが浮かび、控えめな装飾の橋の素朴さが素敵

たまに、機能面ではなく遊び心のような面が強いデザインを見かけると

テンションが上がる

なぜ「黒谷さん」と呼ばれるのか?

金戒光明寺は、地元では「黒谷(くろだに)さん」とも呼ばれています。これは、お寺が京都・東山の「黒谷」という地に建っていることに由来します。

金戒光明寺の見どころ

金戒光明寺 御影堂

• 本堂(御影堂):法然の木像を安置。広々とした空間に荘厳な雰囲気が漂います。

• 阿弥陀堂:法然の教えの中心である「南無阿弥陀仏」を体現する堂宇。

• 山門:京都三大門の一つ。時代劇や映画の撮影にも使われています。

法然上人とは? 〜日本仏教に革命をもたらした僧侶〜

「南無阿弥陀仏」だけで極楽往生!?

法然(ほうねん、1133-1212)は、日本仏教に大きな変革をもたらした僧侶です。彼の教えの最大の特徴は、「南無阿弥陀仏」と唱えれば誰でも救われるという「専修念仏(せんじゅねんぶつ)」の教えでした。

それまでの仏教は、厳しい修行をしなければ悟りに至れないと考えられていました。しかし法然は、「どんな身分の人でも、念仏を唱えることで極楽往生できる」と説いたのです。これは当時の人々にとって画期的な教えでした。

金戒光明寺 極楽橋

先ほどの漣池を渡って顔を上げるとさらに息をのむ景色が

細く長い階段のわきには、桜が咲き誇っていた

弾圧と復興

しかし、法然の教えは当時の仏教界から大きな反発を受け、後鳥羽上皇の怒りを買い、彼自身も流罪(現在の香川県)となります。その後、法然は許されて京都に戻りますが、ほどなくして亡くなりました。

その後、弟子たちが教えを広め、金戒光明寺をはじめとする多くの浄土宗の寺院が生まれました。

新選組と金戒光明寺 〜幕末の動乱と武士たち〜

なぜ新選組がここに?

幕末、京都の治安維持を担っていたのが新選組です。その新選組が拠点としていたのが、金戒光明寺でした。

その理由は、金戒光明寺が当時の京都守護職である会津藩(松平容保 まつだいら かたもり)の本陣だったからです。

会津藩と幕府の関係

幕末の日本は、「幕府側(佐幕派)」と「倒幕派(尊王攘夷派)」に分かれて争っていました。

• 幕府側(佐幕派):江戸幕府、会津藩、新選組

• 倒幕派(尊王攘夷派):薩摩藩、長州藩

会津藩は幕府を守る立場だったため、倒幕派の志士たちと戦うことになります。そのため、京都で活動していた尊王攘夷派の志士たちを取り締まるために、会津藩の配下として新選組が活躍しました。

金戒光明寺 三重塔

映画・ドラマのロケ地としての金戒光明寺

金戒光明寺は、その壮大な山門や美しい境内が魅力で、多くの映画やドラマの撮影地としても使われています。

金戒光明寺 山門

大きな山門

門だけでひとつの建物のようで立派

多くの人が写真を撮っていた

主な作品

• 『憑神(つきがみ)』(2007年)

• 『阿修羅城の瞳』(2005年)

• 『相棒~特命係、西へ!~』

• 『大奥』シリーズ

時代劇のロケ地としても有名で、新選組関連の作品でも背景として登場することが多いです。

まとめ 〜なぜ金戒光明寺を訪れるべきなのか?〜

金戒光明寺は、

✅ 法然が開いた浄土宗発祥の地

✅ 新選組や会津藩ゆかりの地として幕末の歴史を感じられる

✅ 壮大な山門や伽藍が圧巻

という3つの大きな魅力を持つお寺です。歴史に詳しくなくても、訪れるだけで平安・鎌倉・幕末といった時代の流れを体感できるはずです。

ぜひ、実際に足を運んで、その歴史の重みを感じてみてください!

金戒光明寺 地図

語彙解説

• 草庵(そうあん):簡素な作りの庵(いおり)、仏道修行のための小さな住居。

• 専修念仏(せんじゅねんぶつ):「南無阿弥陀仏」を唱えることで極楽往生を目指す信仰。

• 京都守護職(きょうとしゅごしょく):幕末に京都の治安を維持するために設置された役職。

• 佐幕派(さばくは):幕府を支持する勢力。

• 尊王攘夷(そんのうじょうい):天皇を尊び、外国勢力を排除しようとする思想。

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