禅のはじまりと建仁寺

ここら近くのお寺の中では清水寺に匹敵するほどの敷地があるのではと思えるほど、
ゆったりとした緑と池が混ざり合う空間
桜もきれいに彩られ、ここにこれまで訪れなかったことを後悔した
「建仁寺って、京都最古の禅寺なんだよね?」
「そう。1202年に栄西(えいさい)という僧によって開かれた、臨済宗(りんざいしゅう)のお寺だ。」
「臨済宗って?」
「禅宗の一派で、鎌倉時代(1185年~1333年)に広まった宗派のひとつ。座禅を組んで悟りを開くことを重視してるんだ。」
「じゃあ、栄西は日本に禅を広めた人?」

建仁寺 法堂
はたと目に留まった堂々たるたち住まい。
中には双龍図が描かれている
「そう。宋(現在の中国)から禅の教えを持ち帰って、日本に広めたんだ。」
「建仁寺って、禅寺の中でどんな位置づけなの?」
「京都五山(ごさん)っていう、室町時代(1336年~1573年)に定められた禅寺のランク制度では、建仁寺は上位に入ってる。」
「へえ、そんな制度があったんだ。」
「当時の幕府は禅宗を厚く保護していて、その中でも重要な寺院を格付けしたんだよ。」
風神雷神図とナルト・サスケの関係
「建仁寺って、何が有名なの?」
「やっぱり風神雷神図(ふうじんらいじんず)だな。俵屋宗達(たわらやそうたつ)っていう江戸時代初期(17世紀)の絵師が描いた国宝で、あの雷様と風の神のペアの絵だよ。」

風神雷神図
「あの、どこにでもあるようなやつ?」
「そう。あまりに有名すぎて、元ネタを意識することがないけど、実は建仁寺にあるこの絵が元祖なんだ。」
「でも、ナルトとサスケと何の関係が?」
「ナルトは風の力、サスケは雷の力を使うよね? これは、日本の伝統的な組み合わせで、風神と雷神の関係性そのものなんだよ。」
「なるほど! そう考えると、ナルトとサスケってめちゃくちゃ日本文化に根付いたキャラなんだね。」
「そういうこと。漫画のキャラ設定にも、日本の伝統が影響してるって面白いよな。」
俵屋宗達と尾形光琳——琳派のつながり
「風神雷神図を描いた俵屋宗達って、どんな人なの?」
「宗達は京都の町で活躍した絵師で、琳派(りんぱ)っていう独特な美術スタイルを築いた人のひとりだ。」
「琳派?」
「装飾的で華やかな絵が特徴の流派で、金箔(きんぱく)を背景に使ったり、シンプルな線で大胆な構図を作ったりするのが得意なんだ。」
「なるほど。で、宗達の後に誰か影響を受けた人がいるの?」

「そう、それが尾形光琳(おがたこうりん)。彼は宗達の風神雷神図を模写して、自分なりのアレンジを加えたバージョンを作った。」
「同じ絵を描いたの?」
「琳派では、先人の作品をリスペクトして再解釈する文化があって、光琳も宗達の作品に影響を受けたんだ。」
「じゃあ、風神雷神図って何枚もあるの?」
「そう。俵屋宗達のオリジナルは建仁寺にあって、光琳が描いたものは東京国立博物館にあるよ。」

説明書きの通り、展示していものは精密に作られた複製品であるが
見るものすべての注目を集める厳かさを感じた
もう一つの見どころ——天井の双龍図
「風神雷神図はなんとなく知ってたけど、建仁寺には他に何か見どころあるの?」
「あるよ。例えば、法堂(ほっとう)っていう建物の天井に描かれた双龍図(そうりゅうず)。」
「双龍図?」

建仁寺 双龍図
思わず息をのむとはこのこと。
絵自体は公開されており、スマホやテレビで見ることはできるが
この空間に飲まれる経験は、実際に来なければ味わえないだろう
東寺の立体曼荼羅を見た時のような神秘的な体験に包まれた。
「2002年に創建800年を記念して、小泉淳作(こいずみじゅんさく)っていう日本画家が描いた巨大な龍の絵だ。二匹の龍がダイナミックに絡み合う迫力のある作品だよ。」
「へえ、新しい絵なのか。」
「そう。でも、龍は昔から寺院のシンボルとして描かれてきたモチーフで、禅寺と相性がいいんだ。」

建仁寺 雲龍図
「龍って何か意味があるの?」
「仏教では水を司る守護神とされていて、寺を守る存在と考えられてる。」
まとめ
「建仁寺って、ただの古いお寺じゃなくて、日本文化の元ネタが詰まってる場所なんだな。」
「そうだな。禅、風神雷神図、琳派の美術、さらにはナルトとサスケの関係まで、いろんな視点で楽しめる。」
「京都に行ったら、実際に見てみたい!」
「うん、実物を見ると、歴史や文化がもっと身近に感じられるはずだよ。」
