[SF]我々はスチームパンクのどこに惹かれているのか

長年私の興味を惹きつけてやまなかったスチームパンクについて

この度、その成り立ちや歴史、代表的な作品群を調べた。

その歴史は19世紀ごろから始まり、現代にいたるまで

レトロフューチャーな世界観で我々を楽しませてくれる。

なぜこのジャンルに惹かれるのか、

その魅力をさらに存分に味わうには何を見ればよいか。

通り一切をここにまとめる。

スチームパンクの興り

スチームパンクとは

主に19世紀、内燃機関でなく蒸気機関が発展した架空の未来の世界を舞台にしたSFジャンルの一種

である。

このジャンルにおいて興味深いのは、舞台とされるのが

18、19世紀の人々が夢見た世界であるという点である。

つまり、当時の人々が「100年後の世界はこんな風になっているだろう

と想像したガジェットや街並み、法律や宗教、思想などが描かれる。

(バックトゥザフューチャーの空飛ぶホバーボードのような感じ)

前時代的な19世紀の街並みの中に、様々な突飛な発明品や

オーバーテクノロジーが入り込んだ世界なのである。

機械仕掛けのボディ(機体)や義肢、オートメイルなど、

レトロな雰囲気と、機械仕掛けを同時に楽しめるのが魅力。

SFのジャンルの話になったときはたいていその定義や境界が

あいまいになるので、

大体の雰囲気を感じ取っておけばよい。

作品例

日本国内の最近の作品で、これこそがスチームパンクだ‼

と指せる作品は残念ながら無い。

よって、その作品にスチームパンク的要素が少し含まれているものを

いくつか紹介する。

・Arcane

いきなり何やこれと思われた方も多いでしょう

何を隠そう、私がこの記事を書くに至ったきっかけこそがこの作品なのだ。

2021年に公開された、Netflixオリジナル作品。

リーグオブレジェンズというゲームを原作に、その前日譚を描いたアニメ。

ルーンテラという魔法技術が発達し、豊かで先進的な上層の世界と

ピルドーヴァーという暴力が蔓延る、貧しく抑圧された下層の世界を舞台に

ヴァイとジンクスという2人を軸に物語が描かれる。

めちゃくちゃ面白いです。

2021年のネトフリオリジナルアニメの中ではこれが一番面白いと思います。

サイバーパンクにありがちな格差社会による下層の社会のディストピア化や

幼少期から青年期にかけて、

主人公2人の距離感や人物関係、立ち位置が想像もしない方向に変化していく様は

思わずあなたを作品に夢中にさせるでしょう。

そして何よりこの作品で最も私がお勧めし、皆さんにも見てほしいのは

作中に登場するガジェットです。

作中中盤、上層の研究者の手によってとある魔法技術が発明され、

その技術を搭載した新型のガジェット武器が主人公の手にもたらされることとなる。

是非ともアニメを見ていただきたく、詳細は説明しませんが

デザイン、機能性、アニメーション、どれをとってもスチームパンクファンからすれば口から涎が出るほどの大好物です。

・鋼の錬金術師

錬金術が存在する19世紀の産業革命期のヨーロッパを題材にしており

とある事件によって主人公のエルリック兄弟の兄エドは右腕と左足が、

弟アルフォンスは、全身が機械鎧となっている。

錬金術を主としたバトル漫画だが、

その世界観はスチームパンクとうまくマッチしており

薄霧が漂う19世紀のヨーロッパの雰囲気をレトロチックに味わえる作品です。

何より王道バトル漫画として揺るがぬ地位を築いた外れ無しの名作なので

少しスチームパンクを味わいながら最初から最後まで楽しめるおすすめの作品です。

・ニーアオートマタ

プラチナゲームズが開発しスクウェア・エニックスが販売しているアクションRPG

日本では2017年2月23日に発売。

プレイヤーはシナリオによって2B. 9Sといったオートマタを操作し、戦闘や探索を行う。

舞台ははるか未来。人類がいなくなった地球。

このゲームをプレイしたことがない人からすれば、スチームパンク的要素は皆無に思えるだろうが

メインキャラのオートマタはスチームパンクを源流としている。

舞台となる地球は機械生命体が跋扈しており、その本拠地はたいてい

大きな機械構造体によって構成されている。

蒸気機関ではなさそうだが、雰囲気としては十分に楽しめる。

スチームパンク好きとしては、

スチームパンク的な未来世界が、そのままディストピア化したような世界を

探索できるところが一番の魅力だと感じる。

・東京ディズニーランド 海底二万マイルエリア

これはアニメや漫画のような創作物とは違いますが、

この現実世界でリアルに感じられるスチームパンクとして上げさせていただく。

そもそも映画「海底二万マイル」の作者ジュール・ヴェルヌはSFの父と言われており

彼を源流として様々なジャンルが開拓されていった。

発表は1870年。スチームパンク全盛の時代。

ネモ船長によって極秘裏に建造されたノーチラス号こそ、スチームパンクの醍醐味である

時代錯誤なオーバーテクノロジーによって作られたガジェットであると言える。

またTDLの海底二万マイルエリアはその一帯がレトロフューチャーな世界観で包まれており

夏場には空冷用のスチーム状のミストによって

まるで自分がスチームパンクの世界の中に入り込んだかのような体験を味わえる。

・進撃の巨人

あまりにも深く作り込まれた世界観と設定に目が行きがちな、今更説明するまでもない伝説的な作品ですが、実はスチームパンク的な要素も含まれています。

作中に登場する立体機動装置は、厳密にはガスの噴射機構を主動力としているものの

白煙の尾を靡かせながら街地をスイングしていく様はスチームパンク的世界観を感じさせます。

また、それほど近代的とも言えないような文明レベルのあの壁の中で

オーバーテクノロジーとも言えるほどの技術力によって壁内地下で立体機動装置が生み出されたのも興味深い点です。

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